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巨刺
 
 
 
 
 
 
 

巨刺に関する考察 2

 

巨刺・繆刺・互刺・メースの解剖学 その2

 

< メースの解剖学 1 >


 これは先日のニコス堂マッサージ教室で話をしたことの一部です。
 写真を見てください。
1. 2.  腕の骨も、足の骨も、上から、1本、2本、3個、4個(本)、5本とふえてゆきます。
3.  肩甲骨と寛骨(骨盤の一部)は相似形です。
4. 5.  側頭骨・蝶形骨(頭蓋骨の一部)と骨盤も、相似形です。
6.  骨盤の形のモチーフは、頭蓋底にくり返して現れてきます。
 いま、モチーフがくり返して現れることを書きましたが、人間の骨格というのは、どれもあるモチーフの変形らしいのです。
 寛骨、肩甲骨、側頭骨の三つが相似形ですし、ねじれた棒のモチーフは、上肢、下肢、指、肋骨にくり返して現れてきます。蝶形骨と仙骨も、おなじモチーフを持っています。
 いま気になって調べたら、耳小骨のツチ骨は大腿骨、キヌタ骨は肩甲骨の相似形でした。アブミ骨はどうでしょうか? 思い当たらないのですが。
 マッサージ教室は、つまり肩こりは肩甲骨、腰痛はお尻(骨盤)を狙え! ということだったわけなのです。これを敷衍して、側頭骨をマッサージして肩こりや腰痛の治療にしようという目論見もあったわけなのですか、そこまでは行っていません。
 人間の骨格というのは、はじめに簡単な原型がいくつかあって、それをくり返し使って作られているもののようです。ねじれた棒だったり、稜のある三角形がその原型らしいのです。
 そうしたもので何とか体を作って、どうにか乗り回しているのが人間ということになりますが、これはもう人間の生活そのものですね。政治も、商売も、貨幣経済も、子供の教育も、どうにかこうにか仕組みを作って乗り回しているわけです。
 宮崎市定の「中国史」をまだ読んでいるわけですが、世界史も、洋の東西にまたがって、同じモチーフが現れてくるらしいのです。古代ローマの統一と秦漢の統一、ゲルマン民族の大移動と五胡十六国の混乱、ギリシアと中国の古代哲学の時代。
 運を天にまかせて、なんとか乗り回してゆくしかないよという一種の楽観論、私は好きなのですが。
 
巨刺と互刺
 
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巨刺と互刺
 
 
 

<メースの解剖学 2>


 先日は、人間の骨というのは、いくつかの簡単なモチーフを元にでき上がっているようだ、ということを書きました。原型があるというところがミソで、つまり寛骨も、肩甲骨も、側頭骨も、おなじ鋳型で作られているということですね。
 これは今風にいえば経済的だということですが、私には、人間を作った神様の楽観性の表現みたいなものに、思えるのです。つまり、まあこの程度のことでやって行けるわけだよ、という。
 この楽観性というのは、人間の歴史の上にもあらわれていて、宮崎市定の「中国史」のような、大局的な歴史を読んでいる際にも、そんなものを私は見てしまうのです。
 以上が、前回書いたことでした。
 メースの解剖学については、もう一つ書きたいことがあって、それは、メースのような見解は、現代の解剖学ではまったく省みられなくなっているということです。
 まあ、そうなのです。腕の骨が、上から順に一本ずつ増えているなんて、小学生の発見みたいなものですし、合理的な理由も見つけられません。偶然ということになって、お終いなのです。
 しかし私としては、鍼師なんてものを職業にしていると、手の先から気が出ていて、それが患者さんの気と通じないと、患者さんは治ってくれないわけです。で、腕の骨が上から一本ずつ増えて、最後に5本になっているわけも、これは段々にエネルギーが増して、なおかつ繊細になって、最後には炎の形になっているわけだと納得がゆくのです。
 手の仕事をするいろんな人に訊ねてみたいのですが、手が最終的に炎の形になっているというのは、細かい、あるいはエネルギーのこもった仕事をする上で、実感のあることなのではないのでしょうか。
 で、こういう見方ができなくなっているというのは、すでに私たちの体に書いてある秘密が読めなくなってしまっているということです。これは憂うべきことです。
 しかしです、私はさっき「神様の楽観性」といいましたが、こんな考えは一体、どこから生れてきたのでしょうか。神様が唐突なら、この世が生れる際にあった理念でしょうか。それが甚だ楽観的なものだったろう、という考えも、自分の治療の経験の中から生れてきたようなのです。鍼も一生懸命に刺しますけど、患者さんは、最後には自分の力で立ち直っていってくれるわけなので。
 さいごにメースですが、Leendert Frederik Carel Mees という人。「シュタイナー医学原論」(平凡社)がネタ本です。
 
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