【論旨】
《一》
瘰癧あるいは鼠瘻の原因が藏中の寒熱であることを論ずる。
《二》
上の刺法についてを論ずる。
《三》
生死の見極めについて論じてあり、瞳子に現れる赤脈によってその予後を判断することができるとあるが、赤脈が多いほど長く保つとある。
【考察】
霊枢21に同じく「寒熱病」という篇があるが、当篇とは係連がない。
当篇は藏の寒熱を原因とする瘰癧、すなわち鼠瘻について論じてあり、皮寒熱・肌(肉)寒熱・骨寒熱と、段階をおって論じてある寒熱病の全体像とは、繋がりがない。(21にはこの他に、頸の五大兪・身の五部といった治療穴についての記述などもある)
瘰癧は肺結核を原病とする頸部リンパ節の腫粒で、頸部から腋下に数珠つなぎになった豆状腫として現れる。累々とつながって現れるため瘰癧と呼ばれるのだろう。その様子がつながり歩く鼠に似ているため、鼠瘻の呼称があるのだろうか。また、ネズミの媒介するペストに感染すると、鼠径部リンパに粒状の腫れものができるが、そのつながりで鼠瘻の呼び名が与えられたものであろうか。